『必死に生きている』

もう二年前になるでしょうか。

いまでもその緊迫としたシーン…想い出します。


そのシリーズの今期の研修が、そろそろはじまります。

初心を忘れないようにするためにも、一読しました。


ぜひ、初めてお読みになる方も多いと思うので。


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       『必死に生きている』

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久しぶりに「口を開くと否定的な評論家」に出逢いました。


とあるリーダーシップ研修の開講の挨拶を人事の担当者がした瞬間から始まりました。


ある一人の受講生が、

「なんでこんなことやるの」

「それをする意味がわからない」

「それなら、そういうふうに案内に書いてくれないとわからないじゃない」

と、冷静な口調で人事を攻めたてるのです。


この人のおかげで10分以上もの時間が過ぎていきました。

そして、その間、なにも助け舟も、意見もいわない同僚のリーダーたち。

攻めたてた本人は、最後には「ふーん…」と意味深なトーンで終わります。

なんとも後味の悪い、嫌な感じで人の「気」を引いていきます。


以前の私は、こうした状況を目の前にしたら、

一瞬、躰がこわばり、どのように対応したらいいのかをフル回転で考え始めたと思います。

どのように説明したら、納得してくれるだろうか…。

その態度を改めさせるには、どういう形で言ったらいいのだろうか…。


しかし、最近は違います。


「あぁ、この人も必死に生きているんだな…」と。


きっと職場で辛い立場にいるんだろうな…と。

上からは押し付けられ、下からは突き上げられ。

周りから自分が認められている感じがしない。


もしかしたら、先ほど彼がいった言葉は、

いつも彼が上司からいわれている言葉だったのかもしれません。


「なんでこんなことするんだよ!」

「意味がわからない!」

「それならそういえよ!」



人からの承認が低下してきていて、きっと心の中でこう叫んでいるのでしょう。

「俺をもっと大切に扱えよ!」

「俺はもっとできるんだ!!」

「なのにその軽い扱いは、なんなんだ!!!」


そういった「存在証明」に必死なんだろう、と。

だから、自分よりも立場が弱い人に対しては攻め立ててバランスを取るのだ、と。


そう思うと、私の中には、「説得しよう」「変えてやろう」なんて気持ちはなくなります。

ですから、彼を責めるわけではなく、この会社で一体何が起きているのかを一緒に解明したくなるのです。

そして、そんな中で、どう乗り越えていくのか?を、一緒に考えたくなるのです。


正直いって、非常に「気」を吸い取られるプログラムでした。

それはそうですよね。

彼だけでなく、実はクラスの大半の受講生であるリーダーたちが、同様な症状だったのですから。苦笑


二日間でぐったりです。

しかし、二日目の夕方に解散するときには、

「存在証明を必死にしていた彼らとは全く違う彼ら」がそこにいました。


何をしたかって…?

それは、ひ、み、つ。笑


皆さんだったら、どのようなことをしますか?

それを考え続けていきたいですよね。


だって、考えていないと、こういう風土になっちゃうんですから!


今日もきっと・・・I・W・D!