『愛しているんですね。自分。』

株主総会の時期ですね。
つい先日、メールにて、こんなお便りをいただきました。

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私事ですが
来年の株主総会が行われる6月○日(△)を以て退任する予定です。
いわば最後の1周、ラストランというわけでして、スタンドに手を振りながらゆっくりと1周して現役生活にピリオドを打とうと考えています。
というわけで、いましばらくお付き合いの程!
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私は、正直いって、感動してしまいました。
最後の一周のイメージをこれほどまでにイメージをしている方は
なかなかいらっしゃらないからです。

彼自身が、先頭きって、この会社の成長をけん引してきました。そして、その際にさまざまな修羅場を乗り越え、会社を守ってきたわけですが、その智慧と暗黙知をしっかりと時間をかけて後輩たちに伝え、育て、組織へと還元してらっしゃってきた方です。

きっと、最後の一周は、スタンドにいる部下や後輩たちからも
<○○さーーん!ありがとうございまーーす!
○○さんが創ってきたこの会社を、僕たちがしっかりと繋いでいきまーーーす!!>
と感謝の声がいくつも飛び交っていることをイメージできます。

退社するときに、惜しまれながら辞める人と、
<やっと、あの人辞めてくれたよ>と言われてしまう人といますよね。何が違うのでしょうか?

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会社を創業したオーナートップの場合は、さらに難しいですよね。
引退の期限を特に誰かに決めてもらうわけではなく、
自らが決めなくてはいけませんから。

しかも、自らの会社は、まさに、自らの身体の一部。
長いこと一体化してきたものから、自分を切り離すこと自体、
大きな決意が必要なります。まさに、引退の美学が、問われるわけです。

とあるオーナートップは、
次世代リーダーにトップを継承していく計画を数年間かけて、実行してきました。
経営者を育成するために、数年にわたって計画的にメンターとして関わり、
そして、期限通りに、バトンタッチをしていく。
リーダーの最後の最も重要な仕事を成し遂げた瞬間でした。

愛を感じます。

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一方で、その愛が、
最後の最後に自分に向けられてしまう残念な方もいらっしゃいます。

<俺は〇〇歳までに辞めるから…>
といって、その歳間際になると、一年延び、また、一年延び。
いつまでも主役は自分で、なかなか、その主役の座を渡すことができません。

<…結局、いつになったらやめるんですか?>
社員は、決して言葉には出せない台詞が胸の中でこだまします。

愛しているんですね。自分。笑

リーダーは、愛の方向が自分に向いていてはお話になりません。
愛は、部下や組織に注がれていくべきです。
せっかく築き上げたあなたの信頼と功績。
最後の最後で、セルフィッシュになることで晩節を汚すことのないように、
いまから、自分自身にインパクトクエスチョン!

愛の方向は、自分に向いていますか?外側に向いていますか?
ぜひ、確認してみてださい。

今日もきっと・・・I・W・D!