『矢印の向きを変える』


実は、私は人前でお話をするのが苦手でした。
(信じられないでしょうが…)

今でこそ、少しは落ちついて話ができるようにはなりましたが…。

きっかけはというと、小学校の音楽の時間。
当時、背が高い方だった私は、席も後の方。
めだとう精神旺盛の中島君は、音楽の時間も、とっても大きな声で歌っていました。

しかし、あるとき、それは起きました…。
ある一小節の音程を、大きくはずしてしまったのです。それも大きな声のまま。笑
すると、そのとき、前方に座っていた同級生たち(僕の記憶では、ほぼ全員が…)、バッっとこちらを振り返ったのです。
そのときの、恥ずかしさといったら、いまでもその光景は忘れもしません。笑

…そのときからです。

音楽の笛の試験では、指は小刻みに震える。
歌声は、蚊の鳴くような小さな声。
人前で朗読などありえない。
そして、それは、のちのち、大学生時代にも続いてしまい…。

実は大学生のとき、サークルのみんなとカラオケにいくことはあっても、

絶対に自分は歌うことはありませんでした。一曲も。
…今の私を知っている方は、信じられないでしょうが、本当です!!
(※今のように歌えるようになったのは、社会人になってからです…。)

思えば今では笑い話になりますが、
それくらい「人前にたつ」というシーンでは緊張が走ります。

そういった体験が<根っこ>にあるので、
人前に立つ、というお仕事のシーンが多い私は、かなり苦労をしてきました。

場数が増えてくると、少人数(~20人くらい)は慣れてきても、

やはり、100人を超える講演形式ともなると、何回やっても緊張しました。

ありとあらゆる緊張緩和の方法は試してみましたが、
なかなか緊張が収まりません。
心臓爆発してしまうくらい、汗も滝のよう…。
登壇する前に、勝手にノックアウト状態でした。苦笑

ここは本気で乗り越えたい、と思って自分のメンターに相談をしました。

すると、メンターは私にこう聞きました。

「会場に入ってから、登壇する直前って、具体的になにしているの?」と。

そうですねぇ…。
自分の台本を何回か見直して、ポイントをもう一回振り返って、
どういえばきちんと伝わるか、を最終確認を直前までしています…と。

すると、メンターは、こうアドバイスしてくれました。

「なるほどね…。今度さ、会場についたら、まず、会場をよーく見回してみて。

そして、気になる聴講者がいると思うから、ひとり選んで、その人をじっくりみる。

すると、いろいろ気になることがでてくるのよ。たとえば、

…なんでこの人って、ものすごいハデハデなネクタイを選んだのかな?
…この人の髪型は特徴的だけど、どういう想いでそのスタイルにしているのかしらね?

 とか。

とにかく、その人に関して興味の湧く状態を保つのよ。
そして、一人おわったら、その隣り人…。そして、次の人。会場の奥の方の人。と。
そうしていると、不思議なくらい緊張なんて、どっかいっているはずだわ。試してみて!」と。

うーーぞーーー!?ホントに??
そんな簡単なことでできるのかな、と思いながら、
藁をもつかむ思いでやってみると…

ホントでした。笑

何回かそれができるようになってから、そのメンターに報告をしにいったら、こう教えてくれました。

「なかじが緊張しちゃうようになったのは、

 矢印が全部自分に突き刺さっちゃっているからね。
 そうなると、やっぱり、緊張しちゃう。
 どうみられているかな。ちゃんとしないと。しっかりできるかな。って。
 こういう問いが頭の中でおきると、もう自分で自分を煽っているようなもん。
 だから、それを打破するためには、あの問いよ。
 <あぁ、なんで、この人は、このネクタイなんだ?>ってね。笑
 その問いをすると、矢印はどっち向きになっていた??
 自分に向かっているのではなく、ごく自然に相手に向かったでしょ?
 矢印の向きを変えるのよ。そういうときはねっ!!」

いまでは、500人いても、800人いても、あまり緊張しません。
会場についてからのその<儀式>は、いまもすることがありますが、お守り的な存在です。
内側に流れる問いの力の威力は凄いものですね。

もし私のような症状でお悩みの方には、おススメです!
今日もきっと・・・I・W・D!