『人の行動は、『問い』の方向に流れていく』

皆さん
おはようございます。
ドリームチーム・ディレクターの中島です。

今日は、震災のときのお話。
3.11 …あれから4年。

私が毎日書いている10年日記の4年前を見かえすと、
当時のことが克明に記録してあり、
あのときのあの判断は、それなりに迅速な判断が
リーダーとしてできた…とは思っています。

しかし、いまでも、
もっとよい方法はなかったのだろうか…
と自分に問いが刺さります。

私は、もっと遡ること阪神淡路大震災のとき、大阪の豊中市にいました。
その時の経験が、おそらく今回の初動を駆り立てたのかと思います。

しかし、経験だけでなく、常に臨場感を持ってイメージをし、
最悪の時をシミュレーションをし続けることで、
もし実際にそれが起きたときにもリードをすることができる!

…今では、そう確信しています。

リーダーは、いかなることが起きてもリードできるよう
ありとあらゆる問いを自分に投げ続け、シミュレーションし続け、
きたるクライシスを乗り越える準備をしていくべき人。

そんな思いで、お送りします。



下記の文章は、2011年4月に執筆したものです。
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 『人の行動は、『問い』の方向に流れていく』
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東日本大震災から一ヶ月。

私は、この一ヶ月間にお会いした経営者やリーダーをはじめとした
様々な方に、次のような問いかけをしてきました。

「地震が起きた瞬間から、現在に至るまで、
 自分自身の頭の中に流れた『問い』には、
 どのようなものがありましたか?」

地震が起こった瞬間に一番多かったのは、

「えっ、大丈夫か?」
「ここは、安全か?」

といった問いでした。
まずは、自らの安全を確保しようとするための「問い」が流れるようです。

その直後から、首都圏を中心に、交通機能が完全に麻痺しました。
お会いした経営者やリーダーの方は、首都圏にお住まいの方が多いことから、

「電車はいつ動くのか?」
「今日は、家に帰れるのか?」

こうした「自分」を中心とした「問い」が、
しばらくは頭の中を占拠したとのことです。

ここまでは、皆さん、
比較的同じような回答をいただきました。

この後からです、大きな違いが生まれてくるのは。

様々な方からお話を伺った結果、
この後の「問い」の内容が、人によって全く異なっていたのです。

また、その違いが、その後の、その方や組織の行動に、
大きく影響していくことも分かりました。

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たとえば、ある企業のリーダーは、
東京にある高層ビルの会議室にて被災しました。
ホワイトボードが壁から落ち、
窓際にあった電話は地面にたたきつけられました。
窓から見える近隣の高層ビルは、
自分のいるビルとぶつかりそうになるほど、
大きくしなっていたそうです。

これまでに体験したことのない揺れに、
身の危険を感じるリーダー。
よって、はじめに生まれた「問い」は、やはり、

「大丈夫か?」
「ここは安全か?」

だったそうです。

しかし、揺れがだんだんと落ち着いていく中で、
頭を流れる「問い」が瞬時に変わっていきました。

「家族は大丈夫か?」
「社員や社員の家族は大丈夫か?」
「交通機能が麻痺するのではないか?」
「社員は無事に帰れるのか?」
「ここでこれだけだから、現地は相当な被害なのではないか?」
「現地の工場は大丈夫か? 支社は?」
「社長、会長はいまどこにいる?」
「関連子会社は?」
「取引先は?」
「週明けの月曜日は営業できそうか?」
「会社が傾くほど最悪な状態を脱するためには?」

 etc……。

こうした問いが、一瞬のうちに頭の中を流れたそうです。

実際、このリーダーの会社では、
数分後に対策本部が設置され、
1時間後には全社員の安否確認がほぼ完了。

上記の問いに関連したその他のアクションも、
すぐさま取られ始めました。

問いの主語が「自分」だけでとどまるリーダーと、
「会社の資産」「ステークホルダー」、
さらには、「日本全体」「グローバル」にまで展開するリーダーとでは、
その後の行動に大きな差が生まれます。

残念ながら、私がお会いした方々の中には、
問いの内容が「自分」にとどまっていた方もいらっしゃいました。

「未来」に対する問いではなく、
「現状」にとどまっているリーダーもいらっしゃいました。

最悪のケースを想定することなく、「まあ、大丈夫でしょ?」と
「楽観視点」にとどまるリーダーもいらっしゃいました。

そして、意図的に逃げたリーダーの存在も知っています。

もちろん、その方々の経験値や抱えている責任の範囲、役割によって、
生まれる「問い」に差が出てくる可能性はあります。

しかし、本当にそれだけでしょうか。

経験や役割に関係なく、私たちは今回の震災で、
「普段からどのような視点を持って、
 『経営』や『マネジメント』をしているのか」
を突き付けられたのではないでしょうか。

「もし、あの後、すぐに『未来』の視点を持てていたのなら、
 また、『悲観視点』に触れることができていたのなら、
 きっと、これまで取ってきた行動とは異なった展開になっただろうに…」

と彼らも振り返っていました。

皆さんも体感したのではないでしょうか。
自分自身の問いの傾向を。
そして、職場のメンバーの問いの傾向を。

人の行動は、問いの方向に流れます。
もし、リーダーもメンバーも、
主語が「自分」だけにとどまってしまっていたらどうでしょうか?
「現状」しか、「楽観」しか問いが流れなかった組織は、
それなりの動きだったことでしょう。

もしかしたら、日に日に悪化する状況に右往左往し、
後手に回った一ヶ月だったかもしれません。

しかし、リーダーもメンバーも、普段から、現状に慣れるのではなく、
「もっといい状態はないのか?」…と
質の高い「問い」を共有しあっていた組織だったとしたら、
どうでしょうか?

きっと、有事の際にも決して思考停止することなく、
「今、自分にできることは何か?」という問いが生まれ、
また、アクションに移せたのではないでしょうか。

皆さんは、この一ヶ月を振り返ってみて、どんな問いが流れましたか?
そして、あなたの組織には今、どのような問いが流れていますか?

以上________________

この4年で自分は成長したのだろうか。

もし、あのようなことが起きたとき、どう初動をとるのだろうか?
天災だけでなく、経営の中でのクライシスが起きたときはどうだろうか?
自分も鍛えつづけようと思っています。

今日もきっと・・・I・W・D!